スバル新人賞、かつ、各方面から絶賛の衝撃作、だそうです。
公共事業として始まったとなり町との戦争に「協力員(のようなもの)」として巻き込まれたサラリーマンと、担当職員との話。
サラリーマンの失恋小説、としては程よく楽しめました。生きるか死ぬかの異常時にも冷徹に業務を遂行する頼りがいのあるパートナーに引かれる主人公。 日常が静かに戦争に侵食される怖さ、間接的に戦争に協力してしまっていることへの問題提起、などは伝わってきません(作者は言ってないのかも?)。
公共事業としての「戦争」は国レベルではある(あった)話ですし、「産業は役場と建設業だけ」という地方が多いことも事実なので、期待もしたし、着想はよかったのに、ふくらみはありませんでした。こっち方面で期待すると失敗します。
眼からうろこ度 ★★☆ (こういう戦争もあるのか、という発想に)
失恋小説度 ★★☆ (よい公務員です、業務遂行にまじめ。現実でも惚れちゃうかも)