2010年8月5日木曜日

日本のチャップリン 小説・曾我廼家五郎

作者は元高校教師。
日本の喜劇の創設者「曽我廼家五郎」の半生記である。下積みの歌舞伎役者が、師匠のもとを飛び出し、笑って泣かせる喜劇を創出し、日本の喜劇王となるさまを描く。
曾我廼家五郎が喜劇を作り、前進し、改良していくがむしゃらに前向きな取り組みが活写されている。 二人の子どもは早逝し、下積みを支えた妻は結核で、遅く生まれた長男は戦死。 家族には恵まれなかったが、劇団を生きがいに突進していく曾我廼家五郎はまさに、明治の新時代の人間であった。
チャップリン本人に「日本のチャップリン」と言わせた唯一の人間。
五郎の勢いで一気に読ませる。 一冊の本には納まり切れない大きな人間なのだろう。 読後感の印象は薄い。 ☆☆