2009年2月26日木曜日

小説家の「伸一」と関係する女性たち、そして、30代半ばですでに冷めてしまった夫婦の、小さなエビソードがゆるやかに重層的に綴られる。 出来事は淡々と語られるが、予測できない形で複雑に絡み合い、長さを意識することなく一気に結末まで読む 。激しさと静謐、まっすぐとひねくれ、潮が寄せたり、返したりにも似た対比が面白い。
伸一の小説のタイトル「GIVE ME 10」で思い出したのが、以前アメリカで暮らしていたときのこと。試合に勝ったり、うまく行ったとき、まだ小さかった子供とお互い掌を高く合わせて"Give me Five"。「やったね」「すごいぞ」という表現だ。ただしこの方向を期待すると、裏切られます。
新感覚の大人の恋愛小説度: ★★☆ (読んでみて損はないです、盛り上がりなくても、楽しめます)
Give me Five度: ☆☆☆ (本当のGive me Fiveはもっと明るく、さわやかで、元気いっぱいだぞ)