1964年の勝浦。夜逃してきた神村一家の修は長男で、三人兄弟の二番目。姉は重い心臓病、弟は登校拒否。
姉は憤死、弟は自殺。母には人殺しと言われ、警察に疑われ、頼みの父は堕落していくばかり。学校にもどこにも行き場のない修には、似た境遇の虎男と霞、そして曜子だけが仲間。その仲間も修の一言で憤死してしまう。
閉鎖的で重苦しい港町で、爆発する怒りのままに行動する修。
すべてを捨てて一旦は町を出た修と曜子の最後の出会いは悲しい。
素晴らしい傑作。修の怒りのパワーに圧倒される。 2,300円/定価2,000円。