江戸時代の和算の世界を描いた短編集。
江戸期に円周率の近似式を作成した建部賢弘を描いた表題作「円周率を計算した男」は歴史文学賞を受賞。研究者の執念と集中力は剣の試合を見るような迫力がある。
それぞれの主人公をとりまく女性たちが魅力的。建部を支えた春香。銀座役人と算術の二束のわらじの忠兵衛の弱腰を激励するお福。純粋でひたむきに元ガエンの清七郎を慕う佳奈。
物事に打ち込む姿は美しい。読んで楽しく、読後さわやか。数学・工学を題材にした時代小説として成功。
明日の活力の元なる元気本 (2,100円で買う/定価 1,800円)