2010年4月18日日曜日

真夜中の運動会

受験生の「布施」には同じ年の「玲子」と一緒にファミレスで受験勉強をする仲だが、まだ恋人にはなっていない。元気だった祖父は急に衰えて痴呆で寝込んでしまう。
父親のリストラ転勤、母の不倫が同時に起こり、「布施」は塾をやめて介護に専念することになる。家族はバラバラ、楽しいことはまるで無い中で、支えは「玲子」だが、 相変わらずキス以上は許してもらえない。ファミレスの「悦子」から脅されていることを知った「玲子」は暴走族だった過去を明らかにする。これがきっかけで、バラバラだった家族は再びまとまりを見せて行く。
「玲子」と「布施」がどちらもいい。大人だったり、子供だったり、しっかりしているようで甘えているような、中途半端さがたのしい。しんみり重いテーマが共感を持って読めるのは、二人のキャラクターだろう。 1,100円/定価1,800円