2009年11月5日木曜日

女信長

戦国時代の小説は面白い。領土を賭けた知恵と力の戦い、社会の大きな変革、魅力的な人物とわくわくする要素がたっぷりだ。
書き尽くされた感のあるこの時代を筆者は、「信長は女だった」という仕掛けで切り込む。前半は女の「魅力」と「直感」で運を呼び込み、活躍がダイナミックにスピード感をもって描かれる。
ところが中盤以降、明智光秀の登場を境に女の「弱さ」が表に出る。普通なら年をとりしたたかになるところが、女信長は弱くなってしまう。弱くてと悩んでばかりの「女信長」は本能寺の変で終わる。後半の主役は信長ではなく、光秀である。
史実とフィクションの間で楽しく読める。 2,100円と値付け/定価1,800円(厚みの割りにお徳)。