修学旅行は公文書の記録からでも110年を超える歴史があり、公立校の海外修学旅行が始まってからでも25年も経つというのだ。だから誰にとっても懐かしくネタの宝庫でもある。筆者は新聞記事や文献をあさり、事故や事件、歴史を証言を交えて60年代から80年代の修学旅行を俯瞰する。
昔はすごかった。新幹線に乗る訓練(広島)や記念写真用に並ぶ練習(静岡)があった。歓楽街で先生が生徒と一緒に酔っ払うなどは「よき時代」のアイコンとして。赤痢の多発、修学旅行列車や連絡船の衝突での死傷など、痛ましい事故も数多くあった。過剰反応もあった。高尾山の木刀は暴走族の凶器になるからと販売自粛。すべてが修学旅行が旅行産業の大顧客だったからであろう。農協ツアー、個人、海外旅行の隆盛で修学旅行は輝きを失っていまう。
名札をつけた制服の中学生の修学旅行生は時々都内でも見かける。もう、「旅行中で一番楽しかったのは、マクドナルドに行ったこと」という驚きはないのだろう。
ちょっとの間懐かしさに浸れるから、1,200円と値付け/定価1,600円