裁判官の「梶間」は一家3人を惨殺事件の容疑者「竹内」を無罪とした。背中の傷が自傷とは思えないほどひどく、犯行の原因も惨殺には弱すぎるからだった。
竹内は、判事を退職し大学教員になっていた梶間の隣に引越してくる。上品で面倒見のよい隣人として、介護疲れの梶井の妻「尋恵」の心を掴む。しかし、竹内を受け入れられない梶井の息子の嫁「雪見」には良くないことが続けて起き、夫婦仲もギクシャクし、家をでることになる。そこに、武井の影をみた雪見は、一人孤立してしまう。
優しく親切な人から、残忍な犯罪者の人格が顕在化する、普通から異常にすこしずつ変わっていく。この徐々に、そしてだんだんと早くなる展開が怖さを掻き立てる。 読み出したら止まらない、怖いけどやめられない。 2,100円/定価1,600円