痩せているが肩幅は広く、上品なスーツに櫛目の通った七三の頭。ヤクザの頭目にも、海外からのヒットマンにも表情を変えない非常な男が、実は現役の刑事、禿富鷹秋。通称が禿鷹。名前の通りにカネと腕力だけを信じる警察の放し飼い。
南米マフィアと抗争する地場のヤクザを食い物にし、マフィアの殺し屋と対決する。恋人を殺された私怨を晴らすために、三下を殺し、ヤクザをハメるのも厭わない。硬質な語り口が禿鷹の悪党ぶりにマッチする。1998年のオール讀物連載だが、同時期の『蚊トンボ白髭の冒険』とらべて全く古びていない。風俗を盛り込まずキャラクターの魅力が優っているからだろう。
悪デカ道を突っ走れ。 続編も読みたい。 1,800円/定価 1,600円