心臓外科教授を目指すエリート医師「香村」は、高度な研究とは裏腹に手術は下手。簡単な手術の患者をミスにより死亡させ、訴えられる。原告を支えたのは、自らも医療過誤の経験を持つ作家「松野」、そして医局勤務の麻酔医「江崎」。江崎が研究中の心臓病再生薬に目を付けたのは、厚労省の「佐久間」。
治療薬としは致命的な欠陥が、佐久間の目論む国家再生には必須であったからだ。
医療過誤裁判を軸として、佐久間の野望、国家再生が明らかになっていく。国の活力を向上させるために、予防でなく排除により、寝たきり老人をなくそうというのである。
超高齢化社会への問題提起として、佐久間が目指した国の将来をはっきりと描いて欲しかった。途中までの疾走感が最後に途切れたのが残念。 ★★(幻冬舎 定価1,800円)