明るくて華やかで艶のある志ん朝落語は大好きだ。朝日名人会の志ん朝シリーズは若い頃の録音だから、勢いと張りもあっていつも大切に聞いている。
若い頃はすごく売れていたから映画もラジオ・テレビでも人気だった。その頃の話から始まる、ヤクザの養女との短い恋、パリでの逢瀬、そして芸の師匠の三木のり平とのかかわり。協会分裂騒動での兄馬生とのやり取りなど、全ては生々しい。
筆者の伯楽は先代馬生の弟子で志ん朝の親友ということ。だから彼の色恋も、芸の苦労も良く知っていたのだろう。
でも、こうした本は読みたくなかった、志ん朝だって色恋があるだろうが、亡くなってからなんでこんな暴露本のようなものを書いたのだろう。小説とつければOKなのだろうか、後味悪し。