2011年4月19日火曜日

みんな家族

昭和最後の日を静かに迎えた昭範と初美、感慨深く昭和を思い起こす喜久雄を早苗、普段どおりの風雄と速男。彼らはみな親戚である。
喜久雄が16歳の夏から物語が始まる。明治44年生まれの喜久雄は豪農の長男で前途洋々な中学生であった。初美の祖父は軍人と電気技師で、どちらも中流以上の家庭であった。
昭雄と初美につながる4家族の昭和の生活を描く。昭和初期には明るい未来が待っているように思えたのに、急速に軍事国家へと変わっていく。普通に生活していた家族が戦争に巻き込まれていく中で、喜久雄は没落した生家の大家族を養うために必死で働く。人間があっという間に死んでしまう、豊かだった生活が貧乏に反転する。昭和の初期から戦後直ぐまではそんな時代だった。それが、終戦後10年経ってから急速に発展、みなが豊かになっていく。
時代の風俗や出来事を巧みに入込み、昭和を普通の人間の目を通して追体験できる。 定価1,762円/★★★☆