談四楼の書き下ろし本。
日本が貧しく、そして、都会と田舎の差がうんとあったころの話から始まる自伝的小説。
北関東で少年時代を過ごした「正昭」は、弟を死なせてしまう。「落語」に目覚めて談志に入門するが、落語協会の分裂騒ぎや、真打テストの当事者として翻弄されたあげく、一門は協会を脱退してしまう。
売れない真打の「正昭」と、ライバルでもあり・仲間でもある同世代落語家との交流、編集者や幼なじみとの温かみのある交わり、そしてやさしい家族・兄弟。
少年時代から引きずっていた弟の死は、長い落語家生活の集大成として、「人情噺」と仕上げられる。 全編が「人情噺」となっていて、哀しい出だしから、しんみりするハッピーエンドに仕立てられている。 読んでよかった。
分裂騒ぎはいまだにトラウマ: ★★★ (談四楼も円丈も、そして川柳師匠もいまだに引きずってる感じがする)
高座聞きたい: ★★★ (何冊も談四楼の本はよんでるけど、 これ読んで行きたくなった。)