警察小説の主人公は、現場の叩き上げで捜査の腕はいいが出世はしない、あるいは、かつては優秀だったが何かの理由で今は窓際、というようなタイプが多い。
これは、共に、国家公務員Ⅰ種試験合格で、警察庁の総務課長「竜崎」と警視庁の刑事部長「伊丹」が主役。互いに小学校の同級だが、性格は正反対、真面目で四角四面、原則重視の「竜崎」と豪放磊落な「伊丹」。
二人が警察官の犯罪の処置をめぐって対立、さらに「竜崎」は家庭の問題もあり、という中で上級公務員としての職責をどう果たしていくか、という重い内容。だが、物語はテンポよく進む。
真面目だが人間的な魅力なしと思われる「竜崎」の人間的な対応と、包容力と決断力のありそうな「伊丹」が身内の論理に囚われるなど、対立軸も魅力。
あっという間の読了、最後は「竜崎」がいい奴に思えるのが上手い。 ★★★