2010年7月31日土曜日

前座修業 千の小言もなんのその

月に一度のライブ以外はアルバイトで食いつなぐ芽のでないパンクロッカーは、志らくのインタビューを見て衝動的に桂歌丸に弟子入りの電話をしてしまう。
運良く入門を許されたものの、団地を出ての通い前座、年下の兄弟子にはいじめられ、彼女は去っていき、師匠からは小言ばかり。
修行はひたすらに師匠に尽くす、寄席で師匠連中の世話をするという人間教育の場。真面目で神経質な歌丸、江戸っ子でしきたりにうるさい文治。濃密で狭い社会でもがく前座の苦労がこれでもかと綴られるが暗くない。ボクシングでストレスを発散し、修行の苦しみを二つ目昇進で一気に昇華させる。
立川流とは違って、師匠の魅力は明示的には語られていない。流派による修行の違いもよくわかる。 ☆☆☆