2012年5月10日木曜日

棟居刑事の東京蛮族 (森村誠一)

棟居刑事は森村誠一作品では有名な刑事であるらしい。有名俳優が棟居刑事を演じるテレビドラマが何回もくられている。小説も映画も主題歌まで大ヒットした「人間の証明」が棟居刑事のデビュー、松田優作が刑事を演じた。
さて、この東京蛮族では刑事の影は薄い。主人公は窓際社員の「南雲」、ホームレスの「会長」、家出した箱入り娘「かおり」、そして「藤村」である。誘拐事件をでっち上げ身代金を手に入れた犯人は、南雲が一夜を共にした女の隣人、女は行方不明になり、誘拐犯も殺される。かおりの婚約者が女の愛人で、かおりへ結婚を申し込むという、ご都合主義。犯人も自然とわかってしまうから、推理小説としては失敗。設定も今となっては古過ぎでかえって新鮮。わかりやすいからテレビの原作には持って来いかも。改めてこの10年のITの進化の激しさが分かった次第。 定価 1,700円 ★