かつて同じ大学チームで箱根を走った3人。早くからニッポンのエースと言われながら怪我で代表を掴めない「須田」。不明朗な選考と舌禍で代表候補から外れた「武藤」、そして優勝のない「青山」。30となった彼らには最後のオリンピックのチャンスだ。親の資金でボルダーでキャンプを張る須田、母校でただひとり走る武藤、実業団チームの最年長として調整する青山とトレーニングも三者三様だ。勝ちのない青山にはドーピングの誘いと、母校のコーチのオファーがあり、勝負と引退の狭間で、揺れ動く。
ランナーのレース中の描写に引き込まれる。ペースの配分とダッシュの駆け引き、密集での妨害、スペシャルドリンクを取る際にもフィジカルとメンタルの駆け引きがある。当事者としてレースに参加している気持ちだ。意外な結末もいい。
ランナーは共感できる。 ★★