13年間で300件もの謝罪写真を集めた作者が、「頭下げ」の背景を透かして見せる。頭の下げ方とタイミングで窮地を逃れることもあれば、傷口を広げることもある。
作者が言う「頭下げ」の本当の意味のほとんどは、当時から言われていたこと。だが、並べて見せられると、「謝罪」はパフォーマンス、目的は同じ、儀式であることがあぶり出される。誠意の無い謝罪、お詫びしてすぐのこっそり復権、社会の安全よりも身の保全、の繰り返し。
日本だけにあるおかしな「謝罪会見」は「謝れば許す」という文化の現れ、「真相を解明し、再発を防ぐ」ためにはなんの意味も無い、と作者は言う。 だから、現れては困る背景を隠すために「謝罪」をさせてもらえない、という場合もある、との指摘はユニークで面白い。
着眼点の面白さに脱帽、整理分類で雑多な資料が意味をもつ。整理と考察は金の元、ということか。 730円/定価740円(新書)。