家元の半生を立川流顧問の「吉川先生」が綴るという豪華版。入門と真打昇進で一生の序列が決まるという世界ならではのエピソード。柳朝にいじめられたり、志ん朝に真打昇進辞退しろと迫ったり、落語協会分裂の遠因になったなど。選挙のはなしはすごい、佐藤栄作婦人が持ってきた当選祝いに金が忍ばせてあったり、慎太郎と青島との確執、応援演説のめちゃくちゃさなど、力が湧き上がるような時代、若かった談志の面目躍如だ。一人会CDでもマクラで話しているけれど、わかりやすく文章になっているのはありがたい。
私生活、特にのんちゃんとの関係は初めての話だ。 落語家のおかみさんはには弟子が苦労するというけれど、真逆の人。エピソードまとめただけでも本が何冊も書けそうだ。
最後は弟子、志の輔との三者対談。家元の弟子はすべてが家元の作品というのがわかる、愛情にあふれ、世代交代の寂しさも感じられるいい対談だ。全編を通して小さんへの深い敬愛があるもの素晴らしい。
活動を休止してしまったけれど、またナマで聞きたい。