2010年2月13日土曜日

脳男

登場人物がいい。刑事の茶屋、精神科医の鷲谷、大富豪の入陶。誰もが個性的だから、正体不明の鈴木一郎の内面の奇妙さがくっきりと浮かび上がる。
連続爆破犯「緑谷」の逮捕現場で茶屋は「鈴木」を逮捕する。一切の抗弁をしない鈴木は精神鑑定にかけられることとなり、鷲谷が担当する。超人的な能力と自我のアンバランスのヒントを探すべく、鷲谷は鈴木の過去を調る。
爆破犯と対峙する鈴木の超人的身体能力、彼が明かす連続爆破犯の意図、茶屋と鈴木のせめぎあい、すべての謎が一気に収斂する終末への加速度感が素晴らしい。 
さすがは乱歩賞 1,800円/定価1,600円。