著者の自伝的小説。 小学校6年で救護院に入れるところで終った「少年木馬団」の時代的には次にあたる、15から17までを描く。
三島の自決した日に高校を暴力沙汰で退学させられた惟朔は、孤独のあまり救護院時代の友人を頼るが、盗んだナナハンの持ち主に大きなけがをさせてしまい、身を隠すはめになる。幼馴染の少女との再会と生活は一時の平穏をもたらすが、アウトローへの思いと縛られたくない衝動により、逃げ出してしまう。
70年代という時代を背景に、暴力団、彫師、中退大学生、との交わりの中で生きていくという、一歩踏み外せば破滅の危うい生活をなんとか続けていく。内省的で、孤独、しかしアウトローとの関わりと危険を自らもとめてしまう、という矛盾の中で、女性に囲まれて成長していく惟朔の鼓動が聞こえてくる。
少年木馬団のようなドキドキ感はないが、時代の空気が伝わってくる。 お勧め。
ナナハン懐かしいなぁ: ★★★(皆があこがれ、でも手がとどかなかった。今は車すら若者を引き付けない)
三島の自決: ★★☆(時代の寵児だったらしいが、今の評価はどうなのだろうか。 金閣寺は図書館にあったが、読んだことは、ない)