2009年4月21日火曜日

昭和の鉄道

国鉄広報部カメラマンによる1970年代前半を中心とした国鉄写真集。
輸送量増大の要求に答える優等列車の増発、新幹線の開業によるピーク、ディスカバージャパンのキャンペーンと衰退と赤字増大、国鉄解体までを写真と解説でたどる。
国鉄は38年で解体されている。すでにJR発足後20年以上経つことを考えると、高度成長を引っ張ってきた「親方日の丸」の国鉄の歴史は意外と短く、しかし濃密であったことがわかる。JRが国鉄的なものの一掃に腐心したことも。
赤字がかさんでいたとはいえ、70年代は鉄道全盛であった。鉄路は生活を支えていた。国鉄お荷物論が高まる中で、蒸気機関車の引退とディスカバージャパンとアンノン族は鉄道全盛の最後の輝きだったとわかる。
すべてが、ただただ懐かしい。力強い蒸気機関車、ピカピカしていたブルートレイン、廃止寸前でもしっかり走っていたローカル線。鉄道は、身近であるだけに、なくなって初めてはじめて、価値がわかる。
昭和50年くらいにアメリカでは鉄道は産業として成り立っていないと知り驚いたことがある、当時は国鉄全盛であったから。今ならなぜだかはっきりわかる。車での移動が手に入れば、もはや制約の多い鉄道は使えないと。
昭和後半に生きていた人へ: ★★★ (懐かしいです、あの時代が帰ってきます。巻末時刻表のおまけにも泣けます)
蒸気機関車フリークへ: ★☆☆(物足りないでしょう、SL本をお勧めします)