つげ義春の名は「青林堂」「ガロ」と対で知っていた。漫画を読んだことはなかったが、懐かしいような怖いような、表紙に誘われて読んでみた。著者が温泉に関連した写真、漫画、イラスト、紀行文をまとめたもので、未発表も含まれている。
昭和40年代半ばから60年にかけた未開発の温泉地が舞台だ。どれも、30年前とは思えないような鄙びかたである。作者の貧乏、粗末趣味、病を得たことによる陰鬱さが全編を覆っている。が、決して暗い一方ではない。 夏油温泉の開放感、瀬見温泉の華やかさなど、温泉はハレであることもわかる。
子供のころ、水木しげるの漫画を読んだことがある。妖怪や不思議を題材としていたものだが、闇に引き込まれるような怖さを覚えている。つげは一時水木のアシスタントをしていたということだが、「懐かしいが怖い」印象は、この漫画と同じトーン・タッチによるものだ。
行ってみたい温泉度:★★★ (どれもすばらしいが、山形県 瀬見温泉、福島県 大塩温泉、湯の花温泉、玉梨温泉は行ってみたい。 夏油温泉、泥湯温泉、尻焼温泉はすっかり有名になってしまった)
全共闘の時代: ★★☆ (社会を壊す、時代を作るエネルギーはどこへ行ったのだろう。なぜ、陰鬱なつげが好まれたのだろうか)
今日のジョグ: 雨で走らず