2009年5月19日火曜日

花開富貴

「細腕繁盛記」中華街バージョンである。 
戦後すぐ横浜南京街で開店した小さな中華料理屋女主人の半生が、中華街の年譜とともに描き出される。華僑だけの街が開かれていく過程、台湾派・中共派への分裂と反目、帰化か中国国籍かの選択で揺れる家族。
中華街に根を下ろした女主人とその家族、街の人たちが、終戦から昭和の終わりまで、時代に翻弄されつつも、笑い、悩み、生き、世代交代していく。
主人公の信仰に裏打ちされた凛とした生き方、エネルギッシュな林。人物は淡々と描写されるが、十分魅力的。時代背景の書き込みは丁寧で中華街戦後史でもある。
時代を生き抜き、家族を育て、世代交代を果たし、主人公は最後に花を咲かせた。それは華やかで魅惑的なの花ではない、しっかりした大きくはあるが、淡いはかない色であっただろう。
加藤文いいぞ、おススメ。
継続は力なり: ★★☆ (悩みながらも自分の信念のとおり生き抜く、主人公は強い)
商売のコツわかります: ★★☆ (数字を読む、経済の原則が語られています)