2010年2月28日日曜日

久しぶりのアメリカ

最近は高精細のテレビ会議があるから面談と同じように打ち合わせできるし、Web会議があるから大阪でもインドでもニューヨークとでも関係なく、自宅から出席OKだ。
だからすっかり海外出張は減った。以前は最低でも月に一度はしていたし、毎週香港なんていう時もあった。バケーションで年に二~三回は海外だが、ビジネスでは一年ぶり。JALの経営が苦しいのもよくわかる。
今日は日暮里からスカイライナーに乗ったら、以前の薄汚くて狭いホームが一新されて、二階建てでスマートになっていたのでびっくり。あと4ヶ月でスカイライナーも新型になるのか。空港までの直通の電車がなく、成田駅からひどく運転の荒いエアポートタクシーに乗らざるをえなかったのも今となっては懐かしい。

2010年2月27日土曜日

田舎館 純米酒

地名がそのまま酒の名になっているというすごい酒。 原酒の生貯蔵酒。田舎館の「つがるおとめ」で醸造されたらしい、というのは、ラベルには一切記載が無いから。流通量も少ないのだろう、弘前のみうら酒店で求めたが、醸造元の鳴海醸造店にも載っていない。
どっしりとした飲み口。どぶろくをイメージしたというが、淡麗辛口とは対極であることは確か。 炊きたての飯を思わせる香りが立ち、コメの甘みと旨みが口中に広がる。吟醸酒が持つ鋭く繊細なキレでなく、斧でズバッと割ったとような力がある。力の源という風格の酒。
肴がいらない濃厚な味。グビグビやると酔いが気持ちよく回る冬の津軽の酒。

2010年2月26日金曜日

ロマネスコ

カリフラワーとブロッコリーが近隣種といわれると、なるほどと感じる。掛け合わせてみようと考えたのにも不思議はない。できたのがロマネスコ。円錐形の実は食べ物としては特異。味はカリフラワー、色はブロッコリーに近いという不思議な食べ物。コリコリ食感もカリフラワーに似ているから、茹でて食べると大変うまい。最近ではカリフラワーは売っていないからこれはありがたい。
NTVの「目がテン」では2002年にブロッコリーを取り上げているが、カリフラワーとの比較はあるがロマネスコの記述はないから、8年前では日本では知られていなかったのだろう。このページでカリフラワーがKale Flowerで「ケールの花」であるのを知った。Kaleは20年くらい前に中華料理屋で食べてその苦さにびっくりしたが、最近は青汁で人気。カリフラワーやブロッコリーのお母さんとは知らなかった。

2010年2月25日木曜日

わが愛しの芸人たち

芸人への愛があふれている。いきなりブラック。純粋落語家だから食べていけない、そんなブラックのお旦になって支援する話。 立川流への愛が深いから読みも的確だ。20年前の予言のとおり志らく、談春は今の立川流の大看板で、同時に落語会も支えている。
三木助への悔みも愛情たっぷりだ。落語家の業と重圧が押しつぶしてしまった才能を思い、悲しみが深くなる。
筆者の愛情は落語家だけではない、ショパン猪狩、波多野栄一。もう彼らを見ることができないのは悲しいが、この本を読めば高座がよみがえる。
何時までも手元においておきたい 1,600円/定価1,600円(ピタリ賞!)

2010年2月24日水曜日

ビーニーベイビーズ Pinchers

マサチューセッツからメイン州、カナダのプリンスエドワード島あたりまで、東海岸の北側では、ロブスターがたくさん採れる。
ボストンではスーパーでも生きているのを普通に売っているし、目玉にしているレストランも多い。ロブスタートラップを庭に置いている家も多かった。ロブスタースチーマーなんかも売っていたが、茹でたらあ暴れるから自分でやるのは嫌だなぁ、と思ったことがある。
ボストンからダラスに引っ越したら、高級な食材店でもむき身のロブスターが冷凍で『ロブスターテイル』で売られていたのが悲しかった。
机を整理していたら、ビーニーベイビーズのロブスターが出てきた。懐かしいなぁ。 今年の夏はボストンに行くから、たくさん食べるぞ!

2010年2月23日火曜日

本朝金瓶梅 と お伊勢篇

江戸一番の放蕩者、西門屋慶左衛門は正妻の他に、妾が二人、その他にもまんじゅう屋の後家、大奥の女など、女遊びの限りを尽くす、ハズなのだが、、、全然活躍しない。 金瓶梅を下敷きにしても、舞台を江戸に置き換えたら、こってりの中華料理からあっさりの出汁のきかない懐石料理になってしまった。
「おきん」と「おりん」の妾同士のヤキモチ合戦として読めば、たのしい。せっかく江戸に舞台を写したのに、町や風俗の描写が無いのも物足りない。 あわせて1,800円/定価2,628円。

2010年2月22日月曜日

権太楼の大落語論

柳家権太楼の落語論。生い立ちから入門まで、アナウンサーの塚越孝がうまく合いの手を入れるから、スルスル読めるが、内容は重厚で、当代一の講座数をこなす師ならでは落語論は重みがある。
営業と高座で鍛えた芸への自信、寄席が落語家を作る、というのは、はやりの独演会偏重、立川流の対極にある。五目落語は面白いが独演会だけで出来ること、風間杜夫や高田文夫の落語も別のフィールドでのことと切り捨てる。落語会蜘蛛の糸論、入門は丁半博打という自己責任論、枝雀蹴られて弱る論、など強烈な自信と芸の肯定があるからこそだろう。平成の聞き手ナンバーワンの堀井憲一郎が2008年ナンバー4とした所以である。三太郎の真打直前の破門騒動の記述はいかにも唐突で暗示的。 出版が2006年3月末、破門が5月6日、笑い話として載せたら現実になってしまった、ということか。
巻末の詳細な注も初心者に親切。初心者が手にとる確率は非常に低いが。 1,200円/定価1,800円

2010年2月21日日曜日

亀吉 特別純米酒

津軽 黒石市にある中村亀吉は、創業者名が社名だ。醸しているのがこれまた亀吉とわかりやすい。蔵元も築100年の文化財でドラマの撮影にも使われたという重厚で趣きのある建物。毎年のように新酒鑑評会で入賞している実力蔵。 
今日開けたのは、「特別純米辛口酒 亀吉」。 精魂一途のラベルが力強い。凝縮された米の旨みが注いだ瞬間に立ち上る。バニラに似た香りが甘く広がり長く残る、のどごしは辛口らしいすっきりさが、さっぱりと引き締める。 旨いから肴なしでもぐいぐいと進む。「華吹雪」と「むつほまれ」で醸したというからまさにMade In 津軽の旨酒。

2010年2月20日土曜日

チャイダンルック (トルコみやげ)

トルコ紅茶を煎れる時に使うのが、二段重ねのポット『チャイダンルック』。Rize Teaというトルコ紅茶を飲んだが味が薄くてうまくない。ずっと不思議に思っていたら、入れ方が違うのだった。
日本やイギリスのようにポットに茶葉をいれておいておくのではない。煮出してしまうのだ。 この時に使う容器である。箱には入れ方は書いていないから、サイトでいろいろ調べてみた。
まず、下のポットで湯を沸かす、その間に上のポットで紅茶を蒸らすと言うことだ。茶葉をそのまま入れて二段重ねで火にかけた。しばらくしたら紅茶のいい匂いがしてきたが、これでは紅茶ではなくくほうじ茶になってしまう。 どうも、下のポットの湯気が出てきたら、少しの湯を上のポットにいれて蒸らす、らしい。湯が沸いたら上のポットに注ぐ。 下のポットに水を足して弱火にしてゆっくり15分程度。 下の湯が再び沸騰したら出来上がりだ。 一杯の紅茶を煎れるのに20分はかかるから、大仕事。
濃かったら下の湯を浸かって薄めて飲む、のだが、やっぱり薄い、茶葉の量を間違えたようだ。

2010年2月19日金曜日

秩父三十四札所めぐり

秩父は山深い。関東平野の端にある奥武蔵の峠を越えたら秩父盆地。西には奥秩父や西上州の山々が立ちはだかる。峠に車道が走り、鉄道が出来る前には大変な山奥と言っても良かったのだろう。秩父霊場はそんな自然の中にコンパクトにまとまっている。徒歩でも健脚ならば4-5日で回れるし、車なら二泊三日だ。
これは34箇所の札所の全てと、モデルコース、周囲の見所まで網羅した札所巡りと秩父周遊をあわせて解説する。
札所の縁起だけでなく、行き方も丁寧に説明されているから、これだけで旅の準備は完璧。バイクツーリングの種本としても役立ち度大。気候が良くなったら行ってみよう。

2010年2月18日木曜日

てのひらの闇

宣伝部課長の堀江は希望退職を受け入れ、あと二週間で退社。そんな彼に会長直々に彼が偶然撮ったというスクープ画像を使ったCM作成が依頼される。だが、フィルムは合成されたものだった。告げた直後会長は自殺し、原因を探る堀江は闇世界からの妨害と圧力を受ける。
出だしがいい、正統ハードボイルド。組織に依存せず力もあるが、酔いつぶれ、叩きのめされる、風邪をひいてしまう、という弱さもある。ドカティでコーナリングに肝を冷やすというバイク乗りなら誰でも頷ける情けなさもある、全てがカッコいい。
堀江さんの続編は無いのだろうか?
カッコいい、バイクが出てくるのもうれしい。 2,100円(ちょっと入込み過ぎ)/定価1,667円

2010年2月17日水曜日

ROYCE ポテトチップチョコレート (北海道みやげ)

生のブームを作った「ROYCE」。生クリムにチョコテートを混ぜて「生チョコ」。Trufflesが旨いのは真ん中のガナッシュのトロっとした感覚にある。旨いところだけを取り出しただけでなく、「生」と付けたネーミングも旨い。
ところが最近はポテトチップチョコレートが人気だそうだ。パリっとした食感を塩味と甘みが混じり合って追いかけてくる。旨いけれど700円もするのは高すぎないか? 
チョコフレークなら200円。LindtのTrufflesだって500gも入っているのに15ドル。日本にいて損してるとつくづく思うのは、こんな時。 今年の夏はアメリカ行ってたくさんLindtを買ってこよう。

2010年2月16日火曜日

記憶の食卓

名簿は連続殺人のリストだった。名簿屋の折原は自分が載っている名簿を見つける。名簿の何人かが殺されていることに気づいた折原は、同僚の強い勧めで真相を探るために、訪ね歩く。
題名と目次から、食べ物小説と思って読み出した。中盤までは犯人探しの推理小説と思わせるような展開、中盤を過ぎると徐々に気持ち悪い描写が増え雰囲気もホラー調に、そして最後はカニバリズム。怖いのではなくて気持ち悪い。 
同時に進行する二つのストーリーは最後には収束。落ちはあっけないほど軽い。うまく乗せられたのは作者の力? それとも怖いもの見たさ? 
気持ち悪いのはだめ、この作者はもうこれからはよまないな。 900円/定価1,680円

2010年2月15日月曜日

桜島 年号焼酎 2009年

ラベルに年号焼酎は毎年、秋に収穫・蒸留・瓶詰めをしたと記されている。焼酎はワインや清酒と違って新酒を強調することはないと思っていたが、年一回という稀少価値で結構人気があるらしい。いつもながら油忠さんはいいものを勧めてくれる。
お湯割りでやるのがいつものことだ。芋の香りが甘く香ばしく香る、焼き芋風味が面白い。口に含んで転がすと、ピリっと来た直後に濃縮された香りがプワァっと広がる。飲んだあとには芋の香がズウンと残る。爽やかで芳醇、若くたくましい焼酎。力強い桜島のラベルもいい、コレクションしたくなるようないい絵だ。

2010年2月14日日曜日

糠にしん (北海道みやげ)

三平汁に正統や本家などあるはずもないが、新巻鮭、塩鮭から作るのが一般的のようだ。「壇流クッキング」では新巻鮭の頭を使って酒粕と味噌味が紹介されている。子供の頃に食べた味である、鮭の頭は食べにくかった。
息子の檀一雄の「自由奔放クッキング」では糠ニシンの使いかたとしての紹介。檜山支庁ではにしん漁場から生まれた道南発祥の伝統色となっていて、糠や塩漬けなどの塩蔵魚と野菜で作ったことがわかる。
伝統的=塩辛い糠ニシンを買ってきて、昔ながらの三平汁を作ってみた。定番のじゃがいも、玉ねぎ、人参、大根。何でもかんでも入れてみて、ニシンもぶつ切りで入れてみた。
ニシンの濃厚な出汁に野菜の甘みが溶け出し、塩加減もちょうどいい。おじやにして出汁の最後まで堪能。残念なのは関東では糠ニシンがてに入らないこと。

2010年2月13日土曜日

脳男

登場人物がいい。刑事の茶屋、精神科医の鷲谷、大富豪の入陶。誰もが個性的だから、正体不明の鈴木一郎の内面の奇妙さがくっきりと浮かび上がる。
連続爆破犯「緑谷」の逮捕現場で茶屋は「鈴木」を逮捕する。一切の抗弁をしない鈴木は精神鑑定にかけられることとなり、鷲谷が担当する。超人的な能力と自我のアンバランスのヒントを探すべく、鷲谷は鈴木の過去を調る。
爆破犯と対峙する鈴木の超人的身体能力、彼が明かす連続爆破犯の意図、茶屋と鈴木のせめぎあい、すべての謎が一気に収斂する終末への加速度感が素晴らしい。 
さすがは乱歩賞 1,800円/定価1,600円。

2010年2月12日金曜日

人生、成り行き 談志一代記

家元の半生を立川流顧問の「吉川先生」が綴るという豪華版。入門と真打昇進で一生の序列が決まるという世界ならではのエピソード。柳朝にいじめられたり、志ん朝に真打昇進辞退しろと迫ったり、落語協会分裂の遠因になったなど。選挙のはなしはすごい、佐藤栄作婦人が持ってきた当選祝いに金が忍ばせてあったり、慎太郎と青島との確執、応援演説のめちゃくちゃさなど、力が湧き上がるような時代、若かった談志の面目躍如だ。一人会CDでもマクラで話しているけれど、わかりやすく文章になっているのはありがたい。
私生活、特にのんちゃんとの関係は初めての話だ。 落語家のおかみさんはには弟子が苦労するというけれど、真逆の人。エピソードまとめただけでも本が何冊も書けそうだ。
最後は弟子、志の輔との三者対談。家元の弟子はすべてが家元の作品というのがわかる、愛情にあふれ、世代交代の寂しさも感じられるいい対談だ。全編を通して小さんへの深い敬愛があるもの素晴らしい。
活動を休止してしまったけれど、またナマで聞きたい。

2010年2月11日木曜日

六時家 タルト (松山みやげ)


松山のタルトは餡をカステラでまいたロールケーキだ。カステラが「の」に見えるのが面白い。 誰でも知っている一六タルトではなくて、買ったのは六時屋すし豊で「地元では六時屋」と皆が言っていたから。
包装が豪華、金色だし、ずっしりと重い。お使い物にはちょうどよくても、お土産に持って帰るのはちょっと大変。
味は、うまくて、こってり。ほのかな柚子の香りが甘さを引き立てる濃厚な餡。しっとりしたカステラはたっぷりと使った卵の旨み高い。重いもの同士だから、食べでがあるから、満足。
「重厚長大」「歴史の重み」「郷土の誇り」の愛すべき菓子。

2010年2月10日水曜日

谷本蒲鉾店 じゃこ天 (松山みやげ)

魚すり身の揚げ物は日本中にある。薩摩揚げが代名詞だ。
四国では八幡浜では「じゃこ天」。この地で採れるハランボをすり身にして揚げる。骨や皮も一緒にすりつぶすのが特徴。だから色は黒く歯ごたえと骨の小片のコリコリが特徴。 
白身だけでないというのが、健康的、体にもいい感じ。 だが、一番は酒の肴に最適ということ。 そのままでも、ちょっと炙っても、魚の丸かじりに似た旨みと、骨のカリッ、ジャリの感覚が脳髄を刺激する。太陽の下で豪快に食べ、飲むのが似合う味。じゃこカツもうまいぞ。じゃこ天にパン粉をつけて揚げたもの。
松山のデパートで手に入る。

2010年2月9日火曜日

松山 すし豊 (松山で食べる)

今治から松山への予讃線に乗った。瀬戸内ののんびりした風景を見て松山に到着の直前、線路脇に『すし豊』の看板を見つける。 瀬戸内はうまい魚の宝庫、今日の夜は寿司にしよう。
カウンターが6席。 小上がりにはテーブルが二つ。 7時半ころだったが、 カウンターは二席を残すだけ、小上がりにも客がいて、鄙びた外見とは相違した繁盛振り、地元の人気店。
メニューもないからお任せで、刺身の盛り合わせとビールを頼む。どれもうまい。ウマヅラハギを一匹半身は刺身で、半身は寿司にしてもらい〆にする。 肝をのせた寿司は美味。
地元の皆さんとは、うまい店やみやげで盛り上がる。 教えていただきありがとうございました。 
松山には名店もたくさんあるのだろうが、楽しい店。お勧め、ただし常連ばかりだから、話に溶け込めないとつらいかも。

2010年2月8日月曜日

巾着袋

陸上自衛隊迷彩の巾着袋。駐屯地のPXで購入。35cm x 45cmで290円とお手頃価格。実用よりもおみやげ。良く見たら中国製でした。
大会の時のシューズ入れにしようと思ったが、生地が薄くてダメ、本当にペラペラ。実用になるのは着替えくらいかな。で、昨日の温泉にタオルいれとして持っていった。サイズがちょうどよかったから、温泉セットに確定。

2010年2月7日日曜日

大津港から平潟へ (北茨城ツー)

んまり寒いので温泉に入りに行こう。近年にない寒波+大雪だけど房総は混みそうだから、常磐道で。
選んだのは大津港から五浦の半島めぐり。まずは大津港の市場食堂でおまかせ定食で腹ごしらえ。市場食堂らしい飾り気のなさ。水槽を置くとかすれば人気が出そうだね。旬のどんこもよかったけど、煮つけで850円、隣の市場では一尾100円、干物は3尾で500円だから高くてやめ。土産にして家で食べようと思ったんだけど、、、忘れた。
半島をくるっと回って、五浦。お目当ての「天心の湯」は閉まっている。何でも昨年秋に廃業したらしい。 「中郷温泉・通りゃんせ」にいったが、800円と高い割にはカルキ臭プンプン、で残念。高萩まで来たので大津港に戻らずに帰宅、で干物も忘れたというわけ。
走行距離 348.2km : 天気はよかったが風強し。 いわき中央から常磐富岡までチェーンと出ていたのにはびっくり。融雪剤で白くなっている常磐道も初めての経験。

2010年2月6日土曜日

落語娘

一月の週末深夜まで仕事をして、一段落したのでテレビをつけたら、『落語娘』をやっていた。探してみたら原作がちゃんとある。
香須美は三々亭平左の唯一の弟子で住み込み前座。稽古熱心でネタの数も多いのに5年目にしてまだ前座なのは女というだけでなく、ぐうたらな師匠の所為でもある。師匠の平左はかつては将来を嘱望された古典落語の旗手であったのに、事故で家族をなくしてからはすっかり漫談家。舌禍でいまや寄席にも出られない身分。
起死回生とばかりに因縁噺に手を付ける。落語協会の圧力、師匠を死なせたくないという弟子の思い。
平左と香須美はまるでつくしと川柳。香須美は落語会で居場所を見つけた。つくしも頑張れ、応援しているぞ。 つくしへのエールを込めて1,700円/定価1,600円。

2010年2月5日金曜日

カラスミ (台湾みやげ)

台湾はカラスミの特産地。日本よりもうんと安いから、仕入れて日本で楽しむ。これは油化街そばの永久号で買ったもの。
台湾のカラスミを知ったのは、邱永漢の『食は広州に在り』を読んでから。この本にある様に、「本当に旨いのは、中はあったかい程度、外はパリパリにカンカンに熾った火で焙る」、をやってみたいが、一腹全部を焼いてしまうなんで高価で到底できない。
飲食店では切ったままで出されることも多い、ネットリ感を味わう、というが、薄切りでも焼いた方がうまいね。どうも台湾製が口にあうようだ。 油のある台湾製に慣れたのか、それとも邱先生並の舌を手にいれたか?

2010年2月4日木曜日

下町のオキテ

『下町の歩き方』ではなく『オキテ』である。下町のルールを守れないヤツは足を入れることができない。
出版されたのは10年以上前だが、当時から下町は衰えつつあって、今や絶滅危惧種としてレッドブックに登録されるべきである。この本の時点でもす神輿の掛け声はワッショイでなくソイヤになっていたし、稽古事は大人ではなくて子供のもの、もんじゃは駄菓子屋の隅でなく小奇麗な店で食べるものになっていた。 
モノは手に入らなくなって価値が上がる。稀少価値である。この本は少し前まで、どこにでもあったから存在すらわからなかった絶滅種下町へのオマージュだ。 2,100円/定価1,500円。

2010年2月3日水曜日

謝罪の品格

13年間で300件もの謝罪写真を集めた作者が、「頭下げ」の背景を透かして見せる。頭の下げ方とタイミングで窮地を逃れることもあれば、傷口を広げることもある。
作者が言う「頭下げ」の本当の意味のほとんどは、当時から言われていたこと。だが、並べて見せられると、「謝罪」はパフォーマンス、目的は同じ、儀式であることがあぶり出される。誠意の無い謝罪、お詫びしてすぐのこっそり復権、社会の安全よりも身の保全、の繰り返し。
日本だけにあるおかしな「謝罪会見」は「謝れば許す」という文化の現れ、「真相を解明し、再発を防ぐ」ためにはなんの意味も無い、と作者は言う。 だから、現れては困る背景を隠すために「謝罪」をさせてもらえない、という場合もある、との指摘はユニークで面白い。
着眼点の面白さに脱帽、整理分類で雑多な資料が意味をもつ。整理と考察は金の元、ということか。 730円/定価740円(新書)。

2010年2月2日火曜日

つるし柿

柿は日本名産と聞いたことがある。柿の木は日本全国にあるし、葉が落ちて実が少しばかり残っているのを見ると、晩秋、里の秋で寂しさが滲み出す。 つるし柿と大根干は「二大 日本が誇る秋の風景」として懐かし昭和風景の代表だ。
綺麗に包装された吊し柿は、その値段とも相まって、年末の果物屋の王様だった。 ところが最近ではさっぱり見ることが無い。今年は、一つ買ってみた、と言っても5,000円近くしたから大層な散財だ。
少し齧る。かみ切るにに歯ごたえがあるのもいい感じ。噛んでみると、少しのねっとり感のなかから、旨甘く凝縮された柿のエッセンスが広がる。砂糖たっぷりの押し付けるような甘さではなく、 甘さひかえめという物足りなさでもない、太陽とが作った調和のとれた旨みをじっくり味わう。
こたつが似合うね。

2010年2月1日月曜日

三人目の幽霊

「季刊落語」は編集長一人に部員一人。新人の緑が配属されて初めて二名体制になったという小さな編集室。落語ファンにとって、緑の仕事は寄席通いという羨ましい身分。
この編集長が、「オチ」の見えない事件を解決、「落ち」が見えない面白さは帯のじゃ惹句。普通の短編推理。落語会の事件とそれ以外が交互に出てくるが、落語で始まる「三人目の幽霊」、「三鶯荘奇談」が楽しかった。
短編だから謎解きの面白さより、事件や人物の魅力で読ませてほしい。 編集長も緑はキャラクターとして乙。 事件がもっと魅力的なら。
落語好きなら読まねばならぬ。 1,100円/定価1,800円