2012年7月7日土曜日

悲鳴 (東直己)

マン島T.Tといえば本田が世界のホンダとなった1961年のレースで有名。その後もスズキ、ヤマハが優勝するなど、高度成長期の躍進の象徴でもあった。しか、しあまりに危険な公道レースは1977からWGPから外され市販車ベースのレースになった。そんな時代、ジョイ・ダンロップがホンダで連勝していた時代の物語。
自分のマシンを壊してしまい、ドカティチームで走る事になった三葉邦彦。撮影で訪れていた元アイドルの真弓がチームの一員として加わる。好いていながら意地の張り合いをする二人、彼らを取り持とうとする小学生のニコラを軸に話は進む。シニカルな文体になれるまではちょっと大変。だが、レースになると一点、適格でカチッとした文体で邦彦の走りが伝わる。危機を乗り越え、最後に優勝すると思われた邦彦。 だが、文体は難しい。慣れたら気持ちがいいのだが、例えば「体格はいい娘だった。それでも女であることを忘れさせるにはほど遠い」。どういう意味だろう。
定価1,450円 ★★ (最後はもっともっとハッピーにして欲しいけど)