2009年9月1日火曜日

イタリアよいとこ 旅券は俳句

江國滋は大好きな作家だった。 もう亡くなってから10年も経つが、これは最晩年(というにはお若かったが)のイタリア吟行をまとめたもの。10年ぶりでの再読。
旅の片手に岩倉使節団の公式見聞記(もう130年も前)と岡本一平の印象記(80年前)を携えて、どこが違い、どこが同じかを調べようとするのだから、探究心に恐れ入る。 
突然の停電にうろたえ、ナポリでは雨ばかり、まずいスパゲティを残し、など、楽しく面白いことばかり書いているわけではない。 が、なんといってもすごいのは、読むと、イタリアに行き、俳句をひり出し、スケッチをしたくなるということ。旅の面白さを教えてくれる。
★★★★ (俳句歳時記を買いたくなる。 2,000円まで出す/定価1,300円)