2009年12月9日水曜日

ナンダ・デヴィ

昭和30年代、まだヒマラヤ遠征が困難だった時代にガワール・ヒマラヤの名峰『ナンダ・デヴィ』に登頂した日本人がいた。公式記録では2回の登頂だが、実際には3回。同じ登山隊の人間は皆、不可解な死を遂げる。出世コースから外れた新聞記者が死の直前まで書かれた手記をもとに真相を明らかにしていく。
物語が動き出すのは第5章残り50ページになってから。長い前振りである。
山岳小説であるが、肝心の登山シーンもヒマラヤの描写も腹に落ちない、臨場感と緊迫感がなく、ガワール・ヒマラヤの神々しい美しさが浮かんでこないのが残念。
チベット動乱や冷戦を題材にしたテーマも舞台も魅力的なのだが、小説としての面白さがない。 暗くぼんやりとした表紙と内容も似ている。
着想も舞台もいいのに、 680円くらいかなぁ/定価1,500円