2011年3月17日木曜日

沈底魚

乱歩賞受賞作に惹かれて読む。
沈底魚とはスパイ、ただし指示があるまで半年でも一般市民として暮らすのがつとめ。大物政治家が中国スパイだという亡命外交官証言を、外事ニ課の刑事不破は、相棒の若林と一緒に追うことになる。 大学同級生の行方不明、相棒の不可解な行動、エリート理事官凸井の思わせぶりな指示、公安内部の反目と主導権争い、そもそも証言は真実か、と情報も状況も輻輳、二転三転する中で、不破はじわりと真相に近づく。
何のために国を守るのか、公安の意味とは何か、と余計なことを考えてしまうのは、退役外交官の独りよがりのためか。
もっと長いページ数にじっくり書き込んでもらったらもっと面白くなっただろう。最後まで不破に感情移入できなかったのが、残念。 乱歩賞としては面白く読んだけど。