2009年3月17日火曜日

されど修羅ゆく君は

信念に生き、かかわった人間にもそれを強いてしまう、個性のひと「坂本」。坂本に惹かれる人々。坂本の殺人嫌疑を晴らすべく行動する登校拒否の中学生「姫子」も彼の磁場に取り込まれた一人だ。すべてが姫子とは反対のウネ子もこの渦の中に飛び込み、坂本を救うべく行動を開始する。単純と思われた事件は公安までが動員され、混沌さをますが、姫子の見つけた苗が真相をとく鍵となる。
姫子、ウネ子、探偵の野崎、登場人物のすべてが個性的、そして魅力的。事件を通して姫子が成長していく。ウネ子、坂本はそんな姫子を一人前に、また、優しく扱う。さわやかな読後感。成長した姫子の物語も書いてくれ。 もっと読みたいぞ。
正当な探偵小説度: ★★★(探偵小説の王道「個性的な人物」「真相が明らかにされる過程」両方ともきっちり楽しめます)
どろどろ愛憎劇: ★★★(真相が明らかになるにつれて、哀しい愛情物語度も深まります)